BMWらしいスポーティーさを加えたグランクーペ。

ファンクションとエモーションに、BMWらしいスポーティーさを加えたグランクーペ。
カブリオレ、クーペに続く3番目の6シリーズ。名前はグランクーペ。GT(グランドツーリング)とクーペを合わせたこの造語が示すように、グランクーペはGTカーのもつ機能性とクーペのもつエモーションを兼ね備えた実に魅力的なモデル。

4ドアクーペ戦国時代。
最大の特徴は4枚のドアをもつクーペであること。80年代にトヨタがカリーナEDで提案した背が低くてスタイリッシュな4ドアモデルは、日本でこそ一時的に流行したものの、世界ではまったく相手にされず、その後日本でも人気が急下降。マーケットから退場を余儀なくされた。この背景にあったのは、大人4人にとって快適な室内空間がなければ4ドアである必要性がないという、ユーザーの実に合理的な判断だ。
その後注目されていなかった4ドアクーペを復活させたのは2005年に発売された初代メルセデス・ベンツCLSだ。低くてスタイリッシュなデザインに身を纏ったCLSは、ボディサイズを大型化することによって実用的な後席空間を確保。結果として大きなヒット作となった。非効率的なパッケージングをボディの大型化によってカバーする・・・こうした方法論に対し一部には否定的な声もあったが、僕はちょっと異なる考えをもっている。保守的な価値観が幅を利かせるプレミアムカーの世界に新しい4ドアクーペという新しいスタイルを持ち込み、成功させるのは想像以上に難しい。入念なマーケティングと効果的なコミュニケーション戦略、優れたデザイン、強力なブランドイメージといった様々なエレメントがあったからこそCLSは成功を収めた。単に大きな4ドアクーペをつくってみたら成功したという単純な話しではないのだ。
とはいえ、他メーカーにしてみればメルセデスだけに先行者利益を独占させておくわけにはいかない。そこでBMWが投入してきたのがグランクーペというわけだ。

美しい弧を描くルーフラインと低く構えたデザインは、
セダンとは明らかに異なる優雅で精悍な仕上がり。

4ドアクーペの存在目的は、一台でファンクションとエモーションの両方を満たしたいと考える欲張りなユーザーに最適のソリューションを提供することにある。ボディの大型化によって居住性とデザインを両立させるという方法論はグランクーペにも採用されている。全高は7シリーズより10㎝も低いが、5mを超える全長と3m近いホイールベースにより、身長180㎝の大人4人が無理なく乗り込める。一方、美しい弧を描くルーフラインと低く構えたデザインは、セダンとは明らかに異なる優雅で精悍な仕上がりだ。
実用上の弱点を指摘するなら、巨大なフロアコンソールのせいで左右席間の移動が規制されることだろう。しかし、いったん乗り込んでしまえばロングドライブでも何ら痛痒を感じることはない。なお、カタログ上の乗車定員は5名だが、リア中央席はあくまで緊急用と考えておくべきだろう。

 

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カブリオレ、クーペに続く3番目の6シリーズ。名前はグランクーペ。GT(グランドツーリング)とクーペを合わせたこの造語が示すように、
グランクーペはGTカーのもつ機能性とクーペのもつエモーションを兼ね備えた実に魅力的なモデル。

最大の特徴は4枚のドアをもつクーペであること。
80年代にトヨタがカリーナEDで提案した背が低くてスタイリッシュな4ドアモデルは、日本でこそ一時的に流行したものの、
世界ではまったく相手にされず、その後日本でも人気が急下降。マーケットから退場を余儀なくされた。
この背景にあったのは、大人4人にとって快適な室内空間がなければ4ドアである必要性がないという、ユーザーの実に合理的な判断だ。

その後注目されていなかった4ドアクーペを復活させたのは2005年に発売された初代メルセデス・ベンツCLSだ。
低くてスタイリッシュなデザインに身を纏ったCLSは、ボディサイズを大型化することによって実用的な後席空間を確保。
結果として大きなヒット作となった。非効率的なパッケージングをボディの大型化によってカバーする・・・こうした方法論に対し
一部には否定的な声もあったが、僕はちょっと異なる考えをもっている。
保守的な価値観が幅を利かせるプレミアムカーの世界に新しい4ドアクーペという新しいスタイルを持ち込み、
成功させるのは想像以上に難しい。入念なマーケティングと効果的なコミュニケーション戦略、優れたデザイン、強力なブランドイメージといった様々なエレメントがあったからこそCLSは成功を収めた。
単に大きな4ドアクーペをつくってみたら成功したという単純な話しではないのだ。

とはいえ、他メーカーにしてみればメルセデスだけに先行者利益を独占させておくわけにはいかない。
そこでBMWが投入してきたのがグランクーペというわけだ。

IMPRESSION

試乗したのは3L直6ターボを搭載する640iグランクーペ。少し遅れて4.4LV8ターボを搭載した650iグランクーペも加わるが、よほどのパワー狂か見栄っ張りでもなければ640iで十分だ。3L直6ターボはパワー、トルク、サウンド、回転フィールともに珠玉の仕上がりであり、1.9トン弱のボディを気持ちよく加速させる。650iとの約250万円の価格差を、豊富に用意されたインテリアオプションに投入したほうが、ずっと満足度は高いだろう。

ホイールベースは3m近くあるが、可変ステアリングギアレシオや60㎞/h以下で後輪の逆操制御が入る四輪操舵システムの効果もあり、意外に小回りが効くし、身のこなしも軽快だ。とくにワインディングロードでの振る舞いは、大柄なボディサイズをまったく感じさせない。ダンパーの硬さを3段階に切り替えられるオプションの可変サスを選択すれば、後席にゲストを乗せているときはコンフォート+モード、1人でスポーティーに走りたいときはスポーツモードというように、TPOに合わせた最適セッティングをスイッチひとつで実現できる。

ファンクションとエモーションに、BMWらしいスポーティーさを加えたグランクーペ。4ドアクーペはBMW史上初の試みだが、ファンクション、エモーション、スポーティーという3項目はもともとBMWが得意とする領域だけに、初モノとは思えない高い完成度を誇っていた。ライバルのメルセデス・ベンツCLSやアウディA7を巻き込んで、プレミアム4ドアクーペ市場をさらに盛り上げることになるだろう。

岡崎 五朗

岡崎 五朗
1966年生まれ。青山学院大学理工学部機械工学科在学中から執筆活動を始め、卒業と同時にフリーランスの自動車ジャーナリストとして活動を開始。

現在、自動車専門誌、一般男性誌への執筆の他、テレビ神奈川『岡崎五朗のクルマでいこう!』のメインキャスターを務める。

持論は「クルマはその国、その企業を映す鏡」。単なる試乗インプレッションにとどまらず、クルマを通して企業論、マーケティング論、技術論、文明論といった幅広いジャンルを語る。
日本自動車ジャーナリスト協会理事。

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4ドアクーペの存在目的は、一台でファンクションとエモーションの両方を満たしたいと考える欲張りなユーザーに最適のソリューションを提供することにある。ボディの大型化によって居住性とデザインを両立させるという方法論はグランクーペにも採用されている。全高は7シリーズより10㎝も低いが、5mを超える全長と3m近いホイールベースにより、身長180㎝の大人4人が無理なく乗り込める。一方、美しい弧を描くルーフラインと低く構えたデザインは、セダンとは明らかに異なる優雅で精悍な仕上がりだ。
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